法事の時期・スケジュールと日取りで注意すべき点を分かりやすく解説
法事は、故人の冥福を祈り、家族や親族が哀しみを分かち合うことのできる大切な儀式です。参列した経験のある方は多いものの、自らが法事を執り行う場合、どの時期にするべきか悩む方は珍しくありません。
一口に法事と言ってもさまざまな種類が存在するため、適切に執り行うためにも時期・スケジュールは把握しておきましょう。
今回は、法事の時期やスケジュール、法事の日取りを決めるときの注意点を解説します。段取り良く法事を執り行いたい場合は、参考にしてください。
1.法事とは
「法事」とは、遺族が亡くなった方を偲び、追善供養を行う行事全般のことを指します。僧侶による読経や、集った参列者との会食などを含んだ幅の広い言葉です。
法事と似た言葉に「法要」がありますが、こちらは追善供養などの儀式を指す言葉です。追悼供養などの儀式そのものが法要と呼ばれ、法要を含む行事全般が法事と呼ばれています。
1-1.法事の種類
法事の種類は、大きく分けると2種類があります。1つめが「忌日法要(きにちほうよう)」であり、2つめが「年忌法要(ねんきほうよう)」です。
忌日法要は、故人が亡くなった命日より7日ごとに行われる法事です。7日区切りとなっている由来は、「閻魔の庁の審判が7日ごとに行われる」という仏教の教えにあると言われています。
忌日法要は「初七日(しょなのか)」から始まり、「七七日忌(しちしちにちき)」、いわゆる四十九日で忌明けとすることが一般的です。
年忌法要(回忌法要)は、故人の命日から1年目、3年目など節目となる年に行われる法事のことを指します。特に、命日より1年目に行われる「一周忌」は七七日忌(四十九日)と並ぶ大きな法事です。遺族だけでなく、故人の友人や知人を招いて供養をすることが通例となっています。
2.法事の時期とスケジュール
法事は、前述のように命日から四十九日まで行われる忌日法要と、節目の年ごとに行われる年忌法要に分かれています。遺族となった場合は、どのような時期に法事を行うか把握しておくことが大切です。
ここでは、忌日法要と年忌法要が行われる時期とスケジュールについて、詳しく解説します。
2-1.忌日法要
忌日法要は、命日から49日目までの「中陰(ちゅういん)」と呼ばれる期間に行う法事です。中陰を過ぎるまで故人の魂は成仏せずにさまようと言われており、その故人の魂が安らかに成仏するよう、忌日法要を行います。
忌日法要の概要・時期・スケジュールは下記の通りです。
初七日 | |
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概要 |
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時期 | 7日目 |
スケジュール | 読経や焼香、喪主あいさつと精進落とし(会食) |
二七日忌 | |
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概要 | 遺族のみが多く、場合により省略される |
時期 | 14日目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
三七日忌 | |
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概要 | 遺族のみが多く、場合により省略される |
時期 | 21日目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
四七日忌 | |
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概要 | 遺族のみが多く、場合により省略される |
時期 | 28日目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
五七日忌(三十五日) | |
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概要 |
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時期 | 35日目 |
スケジュール | 忌明け法要の際には、読経や焼香、会食などが行われる |
六七日忌 | |
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概要 | 遺族のみが多く、場合により省略される |
時期 | 42日目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
七七日忌(四十九日) | |
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概要 |
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時期 | 49日目 |
スケジュール | 読経や焼香、会食などが行われる |
忌日法要では、初回の法要である初七日と、忌明け法要となる四十九日(地域により三十五日)が重要です。
初七日は、僧侶を招いて読経を行い、その間に集まった全員で焼香を行います。遺族だけでなく、親族やゆかりのある方も招くことが通例です。現在では、葬儀当日、火葬の骨上げ後に行う流れが一般的となっています。
四十九日も、僧侶や親族、ゆかりのある方を招待して行います。時期は命日より49日目となっているものの、実際には49日目より早めの時期が選ばれることが多い傾向です。そのため、命日より20日目頃から僧侶手配や場所・会場確保、食事手配などを計算して行っておくと、段取りが良くなります。
なお、その他の忌日法要は、自宅で遺族や近親者のみで密やかに行われる場合がほとんどです。省略される場合もあるため、親族などと相談しながら予定・対応について決めましょう。
2-2.年忌法要
年忌法要は節目の年に行われる法要であり、初回は満1年目の命日に行われます。なお、三回忌の「三」は数え年による表記であり、満年数では2年目にあたるため注意が必要です。下記では、各年忌法要における概要と時期、法要で行われるスケジュールについて解説します。
一周忌 | |
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概要 | 僧侶や親族、知人などゆかりのある方を集めた供養 |
時期 | 満1年目 |
スケジュール | 読経や焼香をし、その後に会食が行われる |
三回忌 | |
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概要 | 僧侶や親族、知人などゆかりのある方を集めた供養 |
時期 | 満2年目 |
スケジュール | 読経や焼香をし、その後に会食が行われる |
七回忌 | |
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概要 | 僧侶や親族を集めた供養 |
時期 | 満6年目 |
スケジュール | 読経や焼香をし、その後に会食が行われる |
十三回忌 | |
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概要 | 僧侶や親族を集めた供養 |
時期 | 満12年目 |
スケジュール | 読経や焼香をし、その後に会食が行われる |
十七回忌 | |
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概要 |
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時期 | 満16年目 |
スケジュール | 読経や焼香をし、その後に会食が行われる |
二十三回忌 | |
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概要 |
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時期 | 満22年目 |
スケジュール | 読経や焼香をし、その後に会食が行われる |
二十七回忌 | |
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概要 |
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時期 | 満26年目 |
スケジュール | 読経や焼香をし、その後に会食が行われる |
三十三回忌 | |
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概要 |
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時期 | 満32年目 |
スケジュール | 読経や焼香をし、その後に会食が行われる |
三十七回忌 | |
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概要 | ケースにより異なる |
時期 | 満36年目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
四十三回忌 | |
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概要 | ケースにより異なる |
時期 | 満42年目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
四十七回忌 | |
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概要 | ケースにより異なる |
時期 | 満46年目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
五十回忌 | |
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概要 | ケースにより異なる |
時期 | 満49年目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
百回忌 | |
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概要 | ケースにより異なる |
時期 | 満99年目 |
スケジュール | 果物などお供え物をし、故人の冥福を祈る |
年忌法要では、一周忌と三回忌が大切な法要となります。僧侶や親族、関係のある方を招待し、僧侶による読経・参加者の焼香の後に会食を行うことが一般的です。ただし、近年では三回忌を行わない家庭も増加しており、行う場合でも規模を縮小することが多くなっています。
七回忌以降も規模が縮小される傾向にあるため、親族の方と相談しながら方針を決めましょう。
なお、一般的には三十三回忌を「弔い上げ」あるいは「年忌止め」とし、以降の年忌法要を行わないケースが多くなっています。三十三回忌以降の年忌法要は、地域の風習や宗派により異なることが実情です。
3.法事の日取りで注意すべきこと
法事は命日に行うことが理想であるものの、親族とのスケジュール調整などで命日に行えない場合もあります。その際は、法要日を命日の前に設定しましょう。法事の期間は、一般的に命日の1ヶ月前から当日までです。
また、法事は大安や仏滅などの六曜とは何も関係がありません。ただし、大安に法事を行うことに関して、好ましく思わない方がいることも事実です。したがって、日程に余裕があるときは、大安の日を避けるとトラブルを回避することができます。
法事を滞りなく執り行うためにも、余裕をもって日程調整を行うことが重要です。
まとめ
今回は、法事の時期やスケジュール、法事の日取りを決めるときの注意点などを解説しました。
法事は、故人の冥福を祈るために定期的に行う儀式であり、忌日法要と年忌法要の2種類があります。忌日法要では初七日と四十九日、年忌法要では一周忌と三回忌に僧侶や親族、ゆかりのある方を招くことが多いため、早い段階から準備しておきましょう。
法事は基本的に命日の前に行うとされています。可能であれば大安の日を避けつつ、適切な時期・スケジュールを把握し、故人との大切な日を安心して過ごせるようにしましょう。