火葬にかかる時間は?待ち時間の過ごし方・火葬の流れも説明

2020年12月17日 葬儀の準備
火葬にかかる時間は?待ち時間の過ごし方・火葬の流れも説明

火葬を執り行う際は、気持ちを落ち着けて必要な手続きを進める必要があります。しかし、火葬にかかる時間の目安が分からず、準備がうまく進められない人も少なくありません。

火葬にかかる時間を把握しておけば、焦ることなく故人とのお別れに備えることができるため、事前に把握しておきましょう。

今回は、火葬の流れや火葬にかかる時間の目安、火葬当日における待ち時間の過ごし方を解説します。火葬の手続きを滞りなく進めるだけでなく、会葬者に対して失礼に当たらないよう、葬儀マナーにも気を付けたい人は参考にしてください。

1.火葬とは?

火葬とは、葬儀や告別式を終えた後に遺体を焼却し、遺骨や遺灰にするための儀式です。一般的に、火葬後の遺骨や遺灰は骨壷に収めた状態で埋葬されます。

かつては土葬が主な埋葬方法でしたが、土地不足や衛生面の問題もあり、現在は火葬が主流となりました。

1-1.火葬の流れ

火葬を行うときの流れは、以下の通りです。

①出棺・移動

葬儀が終わったら斎場から出棺し、火葬場へと移動します。出棺式の際に喪主が挨拶をすることが一般的です。
葬儀に参加した人全員ではなく、遺族や親族など故人との関係が深い人だけが火葬場に同行します。

火葬場への移動に車を利用する場合、先頭は棺と葬儀業者を乗せた霊柩車です。位牌や遺影を持つ遺族は、霊柩車の後に続く車に乗って火葬場へ移動します。

②許可証の提出

火葬場に着いたら、死亡届を出した際に役所で受け取った火葬許可証を受付に提出しましょう。火葬が終了すると、火葬許可証に火葬済証明印が押されます。

押印された火葬許可証は、遺骨をお墓に納める際に必要な埋葬許可証となるため、忘れることのないよう注意してください。

③納めの式・火葬

納めの式は、火葬炉の前で行われるお別れの儀式です。納めの式においては位牌と遺影を飾り、僧侶による読経のなか、故人と関係が深い人から順に焼香をします。

納めの式を終え火葬が始まった後は、係員の案内に従い別室で待機しましょう。

④収骨

火葬後は、遺骨を骨壷に入れる収骨が行われます。収骨の際は2人1組となり、箸を使って遺骨を骨壷に入れましょう。故人と関係が深い順に収骨することが一般的です。

収骨の方式には、全ての遺骨を骨壷に入れる全収骨と、一部の遺骨のみを骨壷に入れる部分収骨の2種類があります。最後に、故人との縁が最も深い人が喉仏の骨を骨壷に入れれば、収骨は終了です。

2.火葬にかかる時間の目安は「1時間前後」

火葬にかかる時間は、故人の体型や副葬品の冷却時間によって変化します。一般的な所要時間の目安は1時間前後で、収骨を含めた場合にかかる時間は約2時間です。

故人の体型によっては、脂肪による火葬炉の過剰な温度上昇を抑えるため、低温での火葬が行われる場合があります。低温での火葬は、通常の温度での火葬と比較して時間がかかる傾向です。

また、指輪や眼鏡など金属製の副葬品は、冷めるまでに時間がかかります。

2-1.火葬炉ごとに火葬の平均時間は異なる

火葬炉の種類も、火葬にかかる時間を変化させる要因の1つです。火葬炉には台車式とロストル式の2種類があります。

国内の火葬場では、台車式が多く導入されています。台車式の火葬炉は、台車に乗った棺をチェーンコンベアーで火葬炉に入れる仕組みです。棺が台車に乗った状態で火葬されるため、遺骨がきれいな状態で残ることが台車式の特徴です。

ただし、台車式の火葬炉は隙間が少ないため炉内の酸素が少なく、火葬に長い時間がかかります。台車式の火葬炉を使用した場合の平均的な火葬時間は、60~70分です。

一方、ロストル式は少数の火葬場で導入されています。ロストル式の火葬炉は、ロストルと呼ばれる格子に棺を乗せて火葬をする仕組みです。ロストル式は燃焼速度が速く、約1時間前後で火葬ができます。

2-2.犬や猫の火葬時間は大きさで変わる

犬や猫など、ペット葬における火葬時間は45分~2時間半ほどです。ペットの火葬時間は体の大きさや体重によって異なります。
犬や猫の体重による火葬時間の目安は下記の通りです。

ペットの体重 火葬時間の目安
3kg前後45分間
7~15kg1時間
15~25kg1時間半
25kg以上2時間以上

一般的なサイズの猫や小型犬の体重は3kg前後で、火葬には45分前後かかります。大きな猫の体重は7~15kg、中型犬以上の体重は15~25kg以上です。重いペットほど長い火葬時間が必要となります。
また、ハムスターやモルモットなど、小動物を火葬する場合にかかる時間は30分前後です。

3.火葬の待ち時間の過ごし方

火葬の待ち時間の主な過ごし方は、以下の通りです。

〇控室で待機する

火葬場に控室がある場合、葬儀の参列者は控室で火葬を待ちます。控室は火葬場に近いため移動の手間が少なく、お手洗いや喫煙スペースも近くにあることが一般的です。

また、控室にはお茶やお菓子が用意されている場合があります。控室で待機する際は、故人に関する思い出や生前のエピソードなどを語らって過ごしましょう。

〇ロビーで過ごす

火葬場によっては、控室ではなくロビーで待機する場合もあります。ロビーに割り当てられた指定の場所で、故人の思い出などを語らいながら過ごすことが可能です。

火葬場のロビー近くに喫茶店があれば、喫茶店のブースで待機することもできます。火葬場の喫茶店では飲み物のほか、お菓子や軽食も販売されているケースが一般的です。また、自動販売機が設置されている火葬場もあります。

〇精進落としの食事をとる

精進落としは、四十九日の忌が明けたタイミングにおいて、精進料理から通常の料理に戻す食事を意味する言葉です。現在は、火葬中や火葬後にとる食事のことを、精進落としまたは精進上げと呼びます。

精進落としの食事をとる際は、遺族から会葬者へお礼を伝えることがマナーです。また、精進落としで手配する食事においては、伊勢エビや鯛などのおめでたい食材を使うことは避けましょう。

精進落としにはお酒が出される場合もあります。ただし、お酒を飲みすぎると収骨などに支障をきたす危険性があるため、飲酒量は少量にとどめましょう。

4.火葬の時間に関するQ&A

初めて火葬を執り行う場合、火葬の時間に関する不明点も持つことも多いでしょう。特に、故人が亡くなってから火葬を行うまでのスケジュールや、火葬を行える時間帯は、多くの人にとって気になるポイントです。

ここでは、火葬の時間に関する質問への回答を紹介します。

4-1.火葬は死後どのタイミングで行う?

火葬を行うタイミングは法律によって定められており、死後24時間以上経過した時点から火葬が可能です。24時間以内では蘇生の可能性があるだけでなく、残された人たちの感情整理に時間が必要なため、火葬のタイミングが定められています。

ただし、死因が感染症の場合は例外です。法律で定められている感染症で死亡した場合、感染症の蔓延を防ぐ目的から、死後24時間以内の火葬が認められます。
また、妊娠24週未満の胎児が死産した場合も例外です。妊娠24週未満の胎児は蘇生の可能性がないと考えられ、火葬のタイミングに関する法律は適用されません。

4-2.火葬が行われる時間帯はいつ?

火葬が行われる時間帯は午前中が一般的です。午前11時から正午までの時間帯は、火葬場が特に混雑します。

一般的な火葬場の営業開始時間は午前10時からです。火葬前に行う告別式を午前10時に始めた場合、火葬場への到着時間は午前11時前後となります。

火葬の開始時刻が午後3時過ぎなど遅い時間帯の場合、収骨を同日中に行うことはできません。また、火葬場と斎場が近い施設の場合、夕方以降の時間帯はお通夜の利用者が多く控室が使えないこともあります。

火葬場の営業は午後4時前後に終了するため、火葬を夜間に執り行うことはできません。適切な時間帯を把握して、火葬を執り行いましょう。

まとめ

今回は、火葬の流れや火葬にかかる時間の目安、火葬当日における待ち時間の過ごし方などを解説しました。

火葬にかかる時間は幅がありますが、一般的な目安は1時間前後です。火葬後の収骨までを含めた場合、2時間前後かかります。原則として、火葬は故人の死亡後24時間以上経過してから執り行うことが可能です。お通夜や告別式の後斎場から出棺し、火葬場に移動して納めの式および火葬が行われます。

火葬中の待ち時間に精進落としの食事をとる場合は、故人の思い出話をするだけでなく、喪主と遺族から会葬者へ感謝の気持ちを伝えましょう。