永代供養の費用相場とは?お墓の種類別費用と内訳を解説

2020年11月25日 葬儀の準備
永代供養の費用相場とは?お墓の種類別費用と内訳を解説

以前は、お墓と言えば代々住んでいた土地に建てるものであり、子々孫々まで受け継いで守っていくものという考え方が主流でした。
しかし、近年では少子高齢化や核家族化が進み、生まれ育った場所を離れて暮らす人も増加していることから、お墓の後継者がいなくなるケースも少なくありません。

後継者不足や宗教観の変化によって、昨今注目が高まっているお墓選びの形態が「永代供養」です。

そこで今回は、永代供養に必要となる費用の相場と、永代供養を選択する際に注意すべき点について解説します。

1.永代供養とは

永代供養とは、お墓を建てて遺骨を納めるのではなく、寺院や霊園に遺骨を納め、供養や管理にまつわるすべての代行を依頼することです。多くの永代供養墓では、宗教・宗派に関わらず、遺骨を受け入れてもらえます。

ただし、永代供養における「永代」は、「永遠」ではありません。多くの場合は遺骨の安置に対して期限を設定しており、最長で33回忌までと定めていることが一般的です。契約期間が終了すると、永代供養墓や合葬墓などで他の遺骨と合祀されます。

永代供養は、墓地・墓石の用意や継承が必要ないため、主に後継ぎのいない人や身寄りのない人の供養に用いられてきました。他にも、子どもに金銭的負担をかけたくないという理由や、墓じまいなどに伴って永代供養が選択されるケースも珍しくありません。

永代供養とよく似た言葉に「永代使用」があり、同じ「永代」という言葉が使用されていますが、意味は異なります。

「永代使用」は、お墓を代々受け継いで使用することです。寺院や霊園に土地代を支払うことで、同じ場所でお墓を使用し続ける権利を取得できます。
寺院や霊園に支払う土地代を「永代使用料」と言い、一度支払えば子々孫々に渡って使用権を引き継げることが一般的です。

2.永代供養の種類別費用

ここでは、永代供養の種類別に、それぞれの供養料金の目安と、一般的な相場を紹介します。

単独墓
単独墓は、通常のお墓と同じように、専用の区画と墓石を設けて納骨するタイプです。
永代使用が可能となる場合と、契約の期間の終了と共に墓石を撤去し、合祀墓や納骨室へ移される場合に分かれます。 永代供養墓の中では、最も丁重に供養する方法です。
墓石や墓誌を建てる際は、別料金がかかります。
供養料金の目安 約30万~100万円
一般的な相場 約40万円
集合墓
集合墓は、お墓自体は一つの石碑を共有し、個別に設けられた区画に納骨するタイプです。
納骨スペースごとに、小型のプレートや石塔などを建てられるところもあります。
契約期間の終了と共に、納骨スペースから合祀墓や納骨室に移されます。
供養料金の目安 約10万~30万円
一般的な相場 約20万円
合祀墓
合祀墓は、遺骨を個人ごとに区別せず、他の埋葬者と同じカロートへひとまとめに納骨するタイプです。
共同墓や合同墓とも呼ばれ、墓石ではなく記念碑などのモニュメントをお墓に見立てるケースも少なくありません。
遺骨が移動することはなく、初めから合祀専用の納骨室へ納められます。
他者の遺骨と混ざってしまうため、後から遺骨を引き取ることはできません。
供養料金の目安 約3万~10万円
一般的な相場 約10万円
納骨堂
納骨堂は、墓地と墓石を使用せずに、専用の区画を設けて遺骨を納めるスペースを借りられる建物のことです。
契約の期間の終了と共に合祀墓や納骨室へ移される場合がほとんどですが、永代使用が可能となる場合もあります。
納骨堂には個人用・家族用があり、仏壇式やロッカー式、機械で稼働するタイプなど、形状もさまざまです。
1人用料金の目安 約25万~100万円
一般的な相場 約50万円
家族用料金の目安 約50万~200万円
一般的な相場 約100万円

3.永代供養の費用内訳

永代供養を選択する場合の費用として、「永代供養料」「お布施」「刻字料」の3つが必要となります。
3つまとめて永代供養料とするところもあれば、一つひとつ個別で計上されるところもあるため、永代供養を依頼する際は費用の詳細をしっかりと確認しましょう。

永代供養料
永代供養料は、遺骨の供養・管理を依頼するための費用であり、遺骨を納めるための場所代も含まれています。
永代供養を依頼する施設の設備充実度、使用する区画の面積と金額は比例することがほとんどです。基本的に「単独墓>集合墓>合祀墓」の順に高額となります。
納骨堂に関しては、お墓の形状や何人分の遺骨を納めるかによっても費用が異なります。
永代供養のお布施
永代供養の場合であっても、納骨の際に読経してもらう場合はお布施を納めましょう。
納骨法要の際に渡すお布施の目安は、3万~5万円とされています。他にも法要を追加する場合は、別途お布施代が必要です。
永代供養料の中にお布施代が含まれているか別料金となっているかは、寺院や霊園によって異なります。事前に費用の内訳をしっかりと確認しましょう。
永代供養墓の刻字料
刻字料は、墓誌などに故人の名前を彫刻するための費用です。
料金の相場は3万円ほどとなっており、永代供養料に含まれていることもあります。
戒名を付けてもらったり、個別に墓誌を用意してもらったりする場合は、3万円からの追加料金が必要です。
その他の費用
永代供養を依頼する寺院や霊園、選択するプランによっては、下記に挙げる費用が必要となります。
  • 墓石料
  • 入檀料
  • 会場使用料
  • 年会費
  • 年間管理費
  • 墓碑銘

上記の費用をすべて含めて、永代供養の初期費用は50万円程度が一般的です。ただし、供養の契約内容や設備の充実度などによっては、さらに高額となる可能性もあります。
寺院や霊園を選ぶ際には見積りを取り、施設の特徴や費用の内訳を確認しましょう。

4.永代供養の注意点

最後に、永代供養を選択する場合の注意点について解説します。

◯合祀後は遺骨を取り出せない
永代供養に合祀墓を選択する、もしくは供養期間が過ぎて合祀墓へ移された後は、二度と遺骨を取り出すことはできません。合祀墓へ入る際は他の埋葬者と混ざり合う形となり、個人の遺骨を特定できないためです。

個人でお墓を用意したい人や、分骨を希望する人がいた場合に、トラブルと発展する可能性があります。

◯個別の供養期間が限られている
永代供養を選択しても、33回忌を区切りとして、最終的には合祀されることがほとんどです。33回忌以降も供養の継続を望む場合は、別途延長契約を結ぶか、新たな墓所を選択する必要が生じます。

◯親族の理解が得られない可能性がある
新しいタイプのお墓であり、供養形態である永代供養は、未だ世間に浸透しているとは言えません。お墓への納骨方法やお墓参りの形に従来のあり方を希望する人は、多くいます。

お墓の問題は、墓参を望む親族全員に関わる問題です。後のトラブルに発展しないためにも、お互いの納得がいくまで話し合い、必ず親族の合意を取り付けましょう。

◯お墓参りの実感がわきにくい人もいる
永代供養は、通常のお墓を購入する場合に比べて、費用を抑えられることが利点です。しかし、一般的な埋葬方法に対するイメージや、お墓の形状と大きく異なるため、お墓参りの実感がわきにくかったり違和感を覚えたりすることがあります。

お墓参りは、残された親族が心を整理するための儀式の一つです。後々後悔することがないよう、慎重に供養の方法を選択しましょう。

まとめ

近年では、代々の土地に住む人が減り、お墓の管理に向かえないことや財政的な理由もあり、一般家庭でも永代供養を希望する人が増えています。しかし、永代供養は比較的新しいスタイルのお墓であることから、親族の理解が得られないことやお墓参りの実感を得られないことも少なくありません。

永代供養は基本的に33回忌を過ぎると合祀され、二度と遺骨を取り出せなくなります。しかし、納骨先の寺院や霊園が存在する限り、供養自体を続けてもらうことは可能です。

通常のお墓で供養するか、永代供養にするかは、自分だけでなく親族と共にじっくりと考えて、決断することをおすすめします。