直葬とは?葬儀の流れから費用相場・注意点までを分かりやすく解説

2020年10月6日 葬儀の準備
直葬とは?葬儀の流れから費用相場・注意点までを分かりやすく解説

一昔前は葬儀と言えば大規模な儀式であり、 近親者や親戚、会社関係者や近所の人などが、先祖の墓がある菩提寺(ぼだいじ)や斎場などの大会場に集まって執り行われることが一般的でした。

しかし、親族が遠方に住むことが増えたり、近所付き合いが減ったりしている近年では、核家族化の進行も相まって、葬儀の規模が縮小される傾向にあります。
規模が小さい葬儀のなかでも、年々増えている葬儀形式が「直葬」です。

今回は、直葬の基本的な知識や、執り行う際の手段や流れ、事前に把握しておくべき注意点について解説します。

1.直葬とは

直葬とは、一般的な葬儀の儀式である「通夜式」や「告別式」を省略し、火葬のみを行う葬儀の形式のことです。
「火葬式」とも呼ばれ、病院や施設などの遺体を安置する場所から直接火葬場へと搬送し、家族やごく親しい人間など、少数の参列者のみで執り行います。

近年では、宗教観の変化などから従来の宗教形式にこだわらない人が増えたことや、経済的な理由から、選ばれることが多くなった葬儀の形式です。

現在、首都圏などでは、葬儀全体の2割程度が直葬で執り行われています。

1-1.直葬を行うメリット・デメリット

直葬を執り行う場合は、自分たちだけでなく、親族や故人がお世話になった人のことも考慮したうえで、検討することが大切です。
故人の葬儀に、直葬が適しているかを確認するために、以下のメリットとデメリットを参考にしてください。

メリット

◯葬儀費用を抑えられる

儀式を省略する分、通夜や告別式にかかる費用面を抑えることができます。

◯参列者へ対応しなくてよい

直葬は遺族やごく親しかった人のみで執り行われる葬儀です。
そのため、受付係の手配や参列者への挨拶といった負担がありません。

◯葬儀後の対応も最小限でよい

規模が小さく参列者が少ないため、近所への挨拶回りや香典返しの手配も、最小限で済みます。

デメリット

◯親族の理解が必要となる

従来の形式やしきたりにこだわる親族がいる場合は、後々トラブルとならないためにも、事前に理解を得ておくことが必要です。

◯参列できない人への対応が必要となる

身内のみで執り行われる直葬では、参列できなかった人が、後日弔問に訪れることがあります。

◯菩提寺に理解を得ておく必要がある

多くのお寺では、菩提寺の宗教的儀式による供養を経たうえで、納骨することが前提です。
菩提寺の宗教的儀式を行わない直葬をした場合、納骨を断られる恐れがあるため、事前に理解を得るようにしましょう。

1-2.直葬にかかる費用相場

直葬の費用相場は、平均で20万~30万円です。
一般的な葬儀の場合、平均で120万円必要となることと比べると、大幅に費用を抑えることができます。

葬儀社によっては10万円程度の価格を提示されることもありますが、一部サービスが別料金となることがあるため、注意が必要です。

検討する葬儀のプランに、下記の料金が含まれているかを、きちんと確認しましょう。

  • 2回分の搬送料(病院から安置所、安置所から火葬場)
  • 安置施設3日分の使用料
  • 火葬料
  • 施工運営料
  • 搬送助手料

また、棺・布団・シーツ・骨壺・焼香道具なども、別料金になる場合があるため、注意しましょう。

2.直葬における葬儀の手段・流れ

直葬を執り行う際には、以下の3つの手段が考えられます。

◯自分自身で執り行う

自分たちの手で執り行うことで、さらに費用を抑えられます。
一般的な葬儀と比較して、少ない手順で済むため、遺族の負担も大きくありません。

◯地元の葬儀社に依頼する

遺族自身で執り行う場合よりも費用はかかりますが、葬儀に付随する手配を任せられるメリットがあります。
宗教儀式を省きたい場合や、参列者が少ない場合に選ばれやすい手段です。

◯葬儀社ブローカーを利用する

インターネット上の広告を経由して、葬儀社に依頼します。
直接依頼するより安価であることがほとんどですが、質の良し悪しにバラつきがあるため、業者の選び方が重要です。

また、法律に基づき、直葬の場合であっても通常の葬儀と同じく、逝去から24時間が経過しなければ火葬できません。
そのため、直葬が終了するまでの時間は、故人の逝去後から24~48時間が目安です。

以下では、葬儀社に依頼した場合を想定して、大まかな直葬の流れを説明します。

2-1.臨終

故人が亡くなったことが確認されたら、遺体を搬送する手配をしましょう。
事前に葬儀社を決めていなければ、病院から紹介してもらうことも可能です。

逝去した場所が病院であれば、その場で「死亡診断書」を受け取ることができます。
逝去した場所が自宅の場合は、遺体を移動させずに医師や警察の判断を仰ぎましょう。

2-2.お迎え・安置

葬儀社へ連絡を入れてから、1時間程度でお迎えの車が到着します。

法律で定められた24時間が経過するまでは、遺体を安置しなければなりません。
自宅か葬儀社の用意する安置施設に搬送したら、役所への手続きや火葬場の手配などを、葬儀の担当者と打ち合わせましょう。

2-3.納棺・出棺

安置の時間が経過した遺体は、仏衣などで包まれ、遺族立ち合いのもとに納棺されます。
一般的には、花や故人が好んでいたものを共に納めますが、素材によっては一緒に入れることが叶わないため、事前に担当者に確認しておきましょう。

故人が旅立つ準備が整ったら、火葬場に出棺されます。
納棺から出棺までにかかる時間は、おおよそ1時間です。

2-4.火葬

遺体が火葬場へ到着し、最後のお別れを済ませたら、火葬へと移ります。
火葬の際には、火葬炉前で僧侶による読経を依頼することも可能です。

火葬にかかる時間は1時間程度で、この間、遺族は控え室で待機します。

2-5.骨上げ

骨上げは、喪主を始めに、血縁が深い順から2人1組で行われ、箸で遺骨を両側から挟んで拾い、骨壺に納めます。
足側から頭に向かって遺骨を拾い上げ、最後に喉仏を骨壺に納める方法が一般的です。

3.事前に把握しておくべき直葬のマナー・注意点

一般的な葬儀と形式が少し異なる直葬では、いくつか気を付けなければならないことがあります。
直葬が選択されることが増えたとは言え、地域によっては理解度が未だ低い場合もあるため、注意が必要です。

以下では、直葬におけるマナーや注意点を紹介するため、直葬を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

マナー

◯服装は常識の範囲内にする

直葬の場合、参列しても数時間程度で終了し、参列者も身内だけであるため、通常の葬儀ほど厳密に服装を選ぶ必要はありません。
ただし、静粛な場であることに変わりはないため、普段着や派手な服装は避け、黒や地味な色合いの平服を心がけましょう。

◯香典には返礼品を贈る

直葬の場合であっても、香典を頂いた場合は相応の返礼が必要で、金額や日取りは地域の慣例に従って行います。
また、香典が必要ない場合は、事前に連絡することがマナーです。

◯食事は別個に済ませる

直葬では基本的に食事の場を設けません。
ただし、火葬場によっては、待機時間や火葬後に食事の場を設けることもできるため、事前に確認するとよいでしょう。

注意点

◯遺体の安置場所を確保する

法の定めにより、逝去後24時間を経過するまでは、遺体を安置する必要があります。
病院で亡くなった場合でも、長時間遺体を預かってはもらえません。
そのため、自宅や火葬場に安置するか、葬儀社などが用意している安置施設を手配しましょう。

◯納骨先を確保する

直葬の場合、菩提寺の宗教儀礼を省略することで、納骨を拒まれるケースがあります。
事前に話をして調整するか、万一納骨が難しい場合は別の納骨先を見つけましょう。
火葬炉前の読経や四十九日などの法要を行うことで、受け入れてもらえることもあります。

◯周囲の理解を得る

葬儀の参列を希望すると考えられる人に対して、直葬を選択した旨の通達を入れましょう。
連絡を怠ることで、葬儀への参列が叶わなかった相手との関係性がこじれるケースがあります。

まとめ

身内のみで執り行われる直葬は、葬儀の規模も小さいため、参列者へ対応も少なく済み、費用も大幅に抑えられるメリットがあります。

一方で、理解度が未だ低い地域があることや、伝統的な葬儀の形式にこだわる人もいるため、後々大きなトラブルへ発展しないよう注意が必要です。
直葬を選択する場合は、通常の葬儀であれば参列したであろう人々へ事情を説明し、親戚や友人の理解も得ておきましょう。

直葬を執り行ったり、直葬に参列したりする際は、ここまで紹介したことをぜひ参考にしてください。