葬儀の流れとは?家族が行うこと・必要な手続きも確認しよう
身内の葬儀を執り行う機会は、そうあるものではありません。そのため、葬儀の流れや段取りについて常日頃から把握している人は少ないでしょう。しかし、身内の不幸は唐突に訪れる可能性があります。
「身内の唐突な不幸」と「葬儀の流れや段取りが分からない」といった、二つの事情が重なった状態では、スムーズに葬儀を行えりません。
段取りが定まらず、慌ただしい葬儀では故人を快く送りだすこともできないでしょう。
そこで今回は、身内が死亡してから葬儀を終えるまでの流れについて解説します。
また、葬儀の流れについてよく寄せられる質問事項について、Q&A方式で紹介しているため、スムーズに葬儀を執り行いたい人は参考にしてください。
1.亡くなってから葬儀までの流れとは?
まずは、逝去から葬儀が終わるまでの大まかな流れを日程と共に紹介します。まず遺体は死亡から24時間は火葬が禁じられています。また、遠方から来る人に配慮することもあり、通夜は翌日の夜に行われることが一般的です。
1日目 (逝去日) | 午前 |
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午後 |
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2日目 (通夜) | 午前 | |
午後 |
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3日目 (葬式) | 午前 |
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午後 |
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葬儀の流れを事前に知っていれば、突然の不幸にも、滞りなく葬儀を執り行うことが可能です。信仰する宗教・宗派によって葬儀の細かい内容は異なりますが、ここでは、仏式の一般的な葬儀の流れについて解説を行います。
1-1.【➀逝去】家族や葬儀会社に連絡する
死亡が確認されたら、まずは家族や友人、知人、菩提寺などに訃報を知らせましょう。入院中であれば、危篤になった段階で一報を入れることも大切です。同時に葬儀社に連絡を取り葬儀の手はずを整えますが、亡くなった状況によって対応が異なります。
◯病院で亡くなった場合
持病などで入院中の病院で亡くなった場合は、その場で死亡診断書が発行されます。遺体搬送に寝台車の手配が必要です。あらかじめ遺体の安置場所や、葬儀社を決めておくようにしましょう。
◯在宅療養の場合
自宅で看取った場合は、かかりつけの病院へ連絡を入れます。かかりつけの病院がない場合は、救急車を呼び判断を仰ぎましょう。このとき、勝手に遺体を動かしてはなりません。医師による死亡確認を待ちましょう。
◯事故死や突然死、自死などの場合
医師による死因の特定ができない場合や事故死の場合は、警察への連絡が必要です。検視官や監察医によって死因の特定がされ、警察から死体検案書が渡されます。
死亡診断書や死体検案書の提出は、ほとんどの場合で葬儀社が代行してくれるため、手続きの心配はありません。死亡が確認され遺体を搬送する前に、看護師によるエンゼルケアや、エンバーミングが施されることもあります。
1-2.【②安置】遺体を搬送して安置する
病院などでは、数時間以内で霊安室からの移動を求められることも少なくありません。そのため、速やかな遺体安置場所の確保や、寝台車の手配が必要となります。あらかじめ決めてある葬儀社に連絡、もしくは病院と提携している葬儀社に依頼しましょう。
安置場所としては、自宅以外にも通夜・葬儀が行われる斎場や専用の保管施設などがあります。
1-3.【③打ち合わせ】葬儀の日程や内容を決める
家族で誰が喪主・施主を担当するか、葬儀の形式や参列者の人数、全体的な予算などについて話し合います。葬儀社と打ち合わせて日程や内容を決定し、職場や学校、近隣の関係者への連絡も行いましょう。
死亡届の手続きや供物の手配などは、葬儀社に依頼すれば引き受けてもらえます。喪服の準備を忘れないようにしましょう。
1-4.【④納棺】遺体を清めて棺に品物を納める
納棺の際には家族や納棺師が末期の水を含ませ、湯かんなどによって遺体を清めて死化粧を施し、死装束を着せます。納棺師がいない場合は、遺族が全ての用意を行う必要があります。
故人が生前愛用していた品物など、共に棺に納めたいものがあれば準備します。ただし、ガラスや金属を含むもの、貴金属の類は棺に入れることができません。葬儀社に確認をとり、品物によっては直接骨壺の中に入れるようにしましょう。
1-5.【⑤通夜】通夜式を執り行う
基本的に全体的な通夜の進行は、葬儀社側の司会者やスタッフが取り仕切ってくれるため、心配する必要はありません。ただし、受付開始の2時間ほど前までには会場に到着し、それぞれの役割や段取り、席次、などを確認しましょう。
芳名帳や筆記具が足りているか、供花や供物、会葬礼状に誤りがないかをチェックします。もし分からないことがあれば、この段階で聞くようにしましょう。
通夜式では読経と共に喪主から焼香を行い、通夜振る舞いの用意がある場合は、焼香を終えた参列者を別室でもてなします。参列者からお悔やみの言葉をかけられた際のマナーとしては、目礼やお辞儀のみ、もしくは「恐れ入ります」とひと言添えるだけで問題ありません。
現在では通夜振る舞いを含めて数時間程度で終了することが一般的です。一般参列者の帰宅後は、親族や葬儀担当者と翌日の時間割を確認しておきましょう。
1-6.【⑥葬儀】告別式を執り行う
葬儀開始の1時間ほど前には式場に到着し、段取りを打ち合わせておきましょう。弔辞・弔電の氏名や順番が正しいか確認し、会葬礼状や会葬御礼品、受付の準備を済ませます。
焼香の順番は通夜と同じく喪主から遺族、一般参列者の順番となります。
閉式の宣言が行われたら、遺族は最後のお別れの挨拶と共に故人の周囲を生花で彩ります。棺の蓋を閉じて、喪主から順番にくぎ打ちを行えば、出棺準備は終了です。遺族や親族で棺を寝台車へ乗せ、火葬場へと送ります。
1-7.【⑦火葬】近親者で骨上げする
火葬場では、僧侶や葬儀社の案内に従って最後のお別れをします。火葬に必要な時間は1時間程度です。火葬が終了した後の骨上げでは、喪主から血縁の深い順番に2人1組で同じ遺骨を挟んで拾い、足先から順に骨壺に納めていきます。地域によっても風習が異なるため、きちんと確認しておきましょう。
事前に分骨を希望しておけば、分骨用の骨壷を用意してもらえます。骨上げ後に受け取る埋葬許可証は、納骨時に必須の書類となるため厳重に保管しましょう。分骨後の納骨場所が異なる場合は、火葬場から発行される分骨証明書が必要です。
1-8.【⑧換骨法要・初七日法要】故人を供養する
火葬後に自宅や斎場に戻ってきた遺族や親族を塩と水でお清めをし、僧侶の読経と焼香によって行われる法要が換骨法要です。初七日法要は、本来逝去から七日目に行いますが、近年では遠方から参列する人への考慮から、葬儀当日に済ませてしまうことが増えています。
ただし、どちらも地域や宗派によって手順や風習が異なるため、必ず事前に確認しましょう。
1-9.【⑨精進落とし】僧侶などを招いて会食する
元々は遺族が肉や魚を絶ち、四十九日の忌明けを区切りとして通常の食事へ戻る儀式のことを精進落としと呼んでいました。
現在の精進落としでは、火葬後に僧侶を始めとしてお世話になった人々を喪主が招き、会食や宴席を設けて式が滞りなく終わったことへの感謝を述べ接待することが一般的です。
2.葬儀の流れに関するよくある質問
ここまでの解説で、おおよその葬儀の流れは把握できたことでしょう。ただし、基本的な流れが分かった状態でも、実際に葬儀を執り行うシーンに直面すると様々な疑問が思い浮かびます。
最後に、葬儀の流れに関して良くある3つの質問を、Q&A方式で紹介します。
2-1.故人の宗旨宗派で葬儀の流れは違う?
宗旨宗派だけでなく地域によっても、葬儀の流れや作法は異なることがあります。
また、故人が生前に葬儀スタイルの希望を出していることや、手配を済ませているケースもあるため、事前に家族内で相談して葬儀の大まかな内容を決めておくと良いでしょう。
2-2.葬儀の日程はどう決めればよい?
通常、死亡から4日ほど経過すると遺体の腐敗が始まるとされているため、4日目には火葬が終わるように日程を整える必要があります。
遅くとも死亡した翌日には予定を組み終えるようにしましょう。
2-3.葬儀の一般的な費用はどれくらい?
通夜に50~150名、告別式に20名ほど集まる規模で一般的な葬儀を行った場合の相場として、約200万円の費用が目安と言われています。
接待料理を豪華にしたり様々なオプションを増やしたりすると費用は嵩みます。反対に規模の縮小や、発注先の選別によって費用を切り詰めることが可能です。
また「火葬のみ」や「通夜と告別式を執り行う」など、葬儀のプランによっても費用は変わります。
まとめ
身内に不幸が起こった際は、家族や葬儀会社と連絡をとり、通夜や葬儀に向けた手続きを行う必要があります。通常では、火葬までの期間は4日以内となるため、休む間もないほどのハードスケジュールになることがほとんどです。
故人の宗旨宗派で葬儀の細部が異なる場合もありますが、基本的な流れは大きく変わりません。良く分からないことがあれば、葬儀会社の担当に相談すれば専門家からのアドバイスがもらえます。
まずは家族や葬儀会社としっかりと話し合って、不安を解消してから葬儀を執り行いましょう。