お悔やみの席へ参列する前に
香典を手渡す際のマナーについて

2023年11月16日 法事・法要

お葬式へ参列する際に、必ず持参するお香典。
急に必要となる場合も多く、頻繁に用意するものではないので、作法や金額の相場など事前に把握しておきたいものですね。
2023年8月から3回に分けて、必ず押さえておきたい香典についてのマナーについてのコラムを掲載しています。

第3回目は、香典を受け渡しする際のマナーについてのお話。
皆様のお役に立てれば幸いです。

第1回目:香典の金額相場や目安
第2回目:知っておきたい香典袋の種類と書き方

お悔やみの場に参列することとなり、今ではインターネット検索などで香典を正しいマナーで用意するところまでは比較的容易に辿りつけるのではないでしょうか。
しかし、いざ通夜や告別式に参列した際に、どのタイミングで、どのような作法で香典をお渡しすればいいのか分からず慌ててしまった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お悔やみの場に参列した場合でも落ち着いて対応できるよう、覚えておきたい香典をお渡しする際のマナーについてご紹介します。

1.香典の受け渡し時のマナー

実は香典を渡すシーンでも、香典を入れて持参する袱紗の形状や色味、渡す作法など気をつけたいポイントがいくつもあります。
順を追って解説いたします。

1-1.香典袋は袱紗に包んで持参します

袱紗は必ず必要なもの?

袱紗に金封を包む理由は大きく2つあります。
1つは、香典袋の水引きが崩れてしまうことや香典袋自体の防汚が目的です。
折角丁寧に香典を包んだ香典袋が、お手渡しする際に崩れていては台無しです。
そしてもう1つは、悲しみの最中にあるご遺族の気持ちやお悔やみの儀式を重んじ、相手に礼を尽くすことを表現するためです。
日本独自の慣習ではありますが、一つの小さな儀式として必ず弁えておきたいマナーですね。

また、急な訃報で出先からそのままお通夜へ参列する、という方もいらっしゃるかと思います。
どうしても袱紗を用意できない場合は、フォーマルなハンカチで代用することもできます。
しかし、これはあくまでも緊急時の対応ですので、万一の際でも慌てないよう、袱紗も事前に用意しておくと安心できますね。

どのような袱紗がお悔やみの場にふさわしい?

袱紗にも色々な形状があります。
一番シンプルな「風呂敷袱紗」は風呂敷のような一枚の広めの布でできています。香典を包んで移動している際に崩れやすいため、風呂敷袱紗を扱いやすく「爪」と「止め糸」を付けた「爪付き袱紗」もあります。一番ベーシックなタイプの袱紗ですね。
袱紗の内側に香典袋を乗せる台がついている「台付き袱紗」は、比較的形も崩れにくく、初めて袱紗を扱う方にも取り扱いやすいです。
特に若い世代からのニーズにマッチしている「金封袱紗」は、包んだ形も崩れない片開きのファイルのような形状の袱紗です。出し入れしやすいで便利ですが、カジュアルなもの受け取る方も多くいらっしゃいます。
どれかひとつ選ぶのであれば、扱いやすさとフォーマルさを併せ持つ「台付き袱紗」がオススメです。

また袱紗の色も多種ありますが、寒色系の色味のものが弔事用、暖色系の色味のものが慶事用とされています。
その中でお好きなものを選択されるのが良いと思います。
どれかひとつ選ぶのであれば、慶弔共に使用できる紫色が便利です。

1-2.香典をお渡しするタイミング・手順

香典の受け渡しのタイミング

通常香典は、お通夜もしくは告別式の受付で記帳と同じタイミングで受け渡しします。
受付の方に「この度はご愁傷様でございます」とお悔やみをお伝えし、香典をお渡しします。
お通夜と告別式、どちらにも参列する場合はどうでしょう。
この場合は告別式に参列した際に香典をお渡しするのが良いでしょう。
お通夜でお渡しした方が良いのではないかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、お通夜でお渡しすることは「事前に準備していた」ニュアンスが生じるため、葬儀・告別式に参列する際にお渡しするのが好ましいです。
また、お通夜と葬儀・告別式で2通香典をお渡しするのは「不幸が重なる」ことを想起させるため、マナー違反。どちらか一方のみでお渡しします。

香典の渡し方

受付で記帳を終えたら、香典を渡します。
弔事の際、袱紗から香典を取り出す時の作法は、左開きに開きます。
まず右手に袱紗を乗せ、左手で袱紗を開き香典を取り出し、お盆や台の上に置いて手渡します。
渡す際は相手が表書きを読める向き(向かって香典の上部がお渡しするご自身に向きます)にします。

1-3.お通夜、告別式に参列できない場合

葬儀に参列できない場合は、弔電や供花を葬儀場にお送りするのが一般的ですが、後日郵送で香典をお送りすることも失礼にはあたりません。
葬儀までの期日に余裕があり告別式当日に送付した香典到着が間に合うのであれば、斎場に日付指定の上直接郵送します。
事前に斎場で現金書留の送付を受け付けているか確認しておきましょう。
ご遺族のご自宅へ送付する場合は、葬儀・告別式の翌日から初七日までに手配します。
斎場への送付・ご自宅への送付、どちらの場合も現金書留にて送付します。
香典袋を封入する際は、書留の表面の向きに香典の表面を合わせて入れます。
また、短くお悔やみの言葉を添え状にしたためて同封することで、ご遺族に寄り添う気持ちを伝えることができます。

2.香典を辞退されたら

家族葬など小規模の葬儀を執り行う方が増えている昨今では、訃報と併せて香典の辞退を連絡されているケースも増加しています。
本来であれば多少なりとものお付き合いのあった方のお悔やみの席なので香典をお渡ししたいと考える方も多くいらっしゃるかと思います。
しかし先方から辞退したい。という意向を受けるとなると、デリケートな問題だけにどう対応していいのかわからない。というお声もよく耳にします。

ご遺族が香典を辞退される理由としては、参列される方への金銭的負担への配慮によるものや、家族葬など小規模の葬儀を行うため、お付き合いのあった方の参列そのものを香典も含め辞退したいという意向がある、等様々です。

ご遺族からの辞退の意向があるのであれば、香典をお渡しする必要はありません。
無理に用意することで、ご遺族に思わぬ負担をかけてしまうケースもあります。
生前の故人様との関係性等の理由で何かしらの弔意を示したいのであれば、供物や供花をお贈りするのが良いでしょう。
その場合もできればご遺族の意向を伺ってから贈ることが大切です。
ご遺族にとっては、葬儀に参列して手を合わせてもらえること、故人を悼むそのお気持ちだけでも十分慰めになるのです。

まとめ

お悔やみの場でご遺族に不快な思いをさせないよう、またご自身が恥ずかしい思いをすることがないよう、正しいマナーで香典を用意したいものです。