お悔やみの席へ参列する前に
知っておきたい香典袋の種類と書き方

2023年9月20日 法事・法要

お葬式へ参列する際に、必ず持参するお香典。
急に必要となる場合も多く、頻繁に用意するものではないので、作法や金額の相場など事前に把握しておきたいものですね。
先月から3回に分けて、必ず押さえておきたい香典についてのマナーについてのコラムを掲載しています。

第2回目は、香典袋の選び方や名前の書き方についてのお話。
皆様のお役に立てれば幸いです。

第1回目:香典の金額相場や目安
第3回目:知っておきたい香典を手渡す際のマナーについて

香典袋は不祝儀袋とも呼ばれ、葬儀や年忌の際に金銭を入れてお渡しするものです。
シンプルなものから豪華な水引きのものまで、また表書きも多種多様に用意されているので、どの香典袋を用意していいか迷っている方もいらっしゃるかと思います。
ここでは香典袋にはどういった種類があるのか、また香典袋の書き方についてお伝えしていきます。

1.香典袋の種類

多種多様な香典袋も、宗教や金額別で考えると意外とシンプルに分かれます。
ここでは、どのような香典袋がどういったケースに相応しいかをお伝えします。

1-1.宗教・宗派別

仏教

日本で一番多いケースが仏式です。無地のものから蓮の花のデザインが入ったものまで、市販されている一般的な香典袋が使用できます。
ただし、宗派によって表書きが異なるため、表書きが印刷されているものを使用する場合は要注意です。
一般的に表書きとして印刷されている「御霊前」は浄土真宗ではNG(浄土真宗以外であればOKです)。
浄土真宗では亡くなった方はすぐ成仏され仏様になると言われているため、御霊前ではなく「御仏前」と印刷されているものを選びましょう。
しかし、急なお悔やみの席で相手の宗派がわからない場合は「御香典」もしくは「御霊前」と記入して良いでしょう。

四十九日以降の法要では、広い宗派で「御仏前」と印刷された香典袋が使用できます。

神道

神式の葬儀の際の香典袋は白色無地のもので、水引きは白黒のものを選びましょう。
仏式で一般的な蓮の花のデザインが施された香典袋は不向きです。
表書きが印刷されているものを選ぶなら、「御霊前」、「御神前」、「御玉串料」を選んでください。

キリスト教

香典袋で一般的な水引きが省かれた、十字架や百合の花のデザインが施されたキリスト教向けの香典袋を選ぶことで、より故人に寄り添う気持ちを伝えることができるでしょう。
キリスト教式の香典袋でも、蓮の花のデザインが施された香典袋は不向きです。
表書きが印刷されているものを選ぶなら、「献花料」、「御花料」「忌慰料」、相手がカトリックの信者であれば「御ミサ料」を選んでください。

2.金額別

包む金額が5,000円以下の場合

白黒の水引きが印刷されているものを選びましょう。
香典袋の中で一番シンプルで一番入手しやすいタイプのものです。中袋のない(外包みが封筒)香典袋もあります。

包む金額が1〜3万円の場合

香典の金額が1万円以上になると、本物の白黒の水引きが施されているものを選びましょう。
関西地方等、地域によっては黒白ではなく黄白の水引きの香典袋で包む場合もあります。
迷った場合は、白黒の水引きのものでも失礼には当たりません。

包む金額が5万円以上の場合

金額が5万円以上の場合は、大判の香典袋で双銀の水引きがかけられているものを使用します。
年齢や関係性により5万円以上の香典を渡すケースも少なくありません。
金額が大きくなると、香典袋も大判でしっかりした作りのものを選んでください。


豪華な香典袋に少額を包む、その逆のシンプルな香典袋に大きな金額を包むのはチグハグな印象を与えますので、相場に則ったデザインの香典袋で香典をお渡しするのが正しいマナーです。

また、市販の香典袋には、パッケージにその香典袋に包むのに相応しい金額の目安が記載されているものもあります。
そちらを参考にされるのも良いですね。

2.香典袋の書き方

香典袋の外包み(外袋)、中袋共に必ず縦書きで記入します。
縦書きに馴染みがない方も多くいらっしゃると思いますが、フォーマルな場でお渡しするものですので横書きでの記入はマナー違反。
もし縦書きに不安があるようなら、2、3度試し書きして縦書きのコツを掴んでみてはいかがでしょうか。

香典袋の種類でもお伝えしております通り、市販の香典袋には表書きが印刷されているものも多くありますので、そちらを利用しても良いでしょう。

昨今では祝儀袋・不祝儀袋用に名前のスタンプも販売されていますが、香典袋の名前をスタンプで代用されることに違和感を感じる方も多くいらっしゃるようです。
亡くなられた方に寄り添う気持ちを伝えるためにも、名前は手書きされることをお勧めします。

外包み(外袋)

外包みは、表面に「表書き」と「名前」を記入します。
水引きの上に「表書き」、下に「名前」をどちらも用紙の中央に記入します。
表書きが印刷されたものを用意した場合は、名前のみ記入してください。
各宗教・宗派の表書きについては、「香典袋の選び方:1.宗教・宗派別」で軽く触れていますので、参考になさってください。

香典袋の外包みには薄墨の筆を使用することがマナーとされています。
薄墨は、訃報を聞いた悲しみの涙で墨がかすむという、相手への弔意を示している意味合いがあります。
しかし、急なお悔やみの席には薄墨の筆ペンを用意することが難しいこともあるかと思います。
その際は濃墨の筆ペンやサインペンで代用することもできます。どちらもコンビニやスーパー、100円ショップ等でも入手可能です。
ただし、外包み(外袋)への記入をボールペンで代用するのはマナー違反です。
中袋はボールペンの記入は問題ありませんので、正しく使い分けてください。

四十九日以降の香典の外包みには薄墨ではなく濃墨の筆ペンを使用するケースが多いようです。
また、地域によってマナーが異なる(例えば関西の一部では、通夜・葬儀の段階から濃墨を使用する)場合もあります。
気になる場合は葬儀の行われる地域の風習を事前に伺っておくのも良いですね。

中袋

中袋は、表面に「香典の金額」を、裏面に「名前と住所」を記入します。
外包みがない状態でも、誰から贈られたものなのか分かるよう、わかりやすい字ではっきりと書くことが必要です。

香典の金額は、表面の中央部に大字(壱、弍、参、といった画数の多い漢数字)にて記入します。
例えば、10,000円包む場合は、縦書きで「金 壱万円」と大きく記入してください。
金額の後に「也」はつけてもつけなくてもマナー違反にはなりません。

名前と住所は、裏面の左側に縦書きで記入します。住所は郵便番号や番地も略さず、外包みがない状態でも送り主が誰かわかる状態にします。
なお、住所の数字は大字は使用せず漢数字で記入します。この場合ゼロ(零)のみ〇を使います。

外包みではボールペンの代用はマナー違反とお伝えしておりますが、中袋はボールペンでの記載は問題ありません。
ただし、フリクションペンは折角記入した文字が消えてしまう可能性があるので使用は控えましょう。

まとめ

お悔やみの場でご遺族に不快な思いをさせないよう、またご自身が恥ずかしい思いをすることがないよう、正しいマナーで香典袋を用意したいものです。