偲ぶ会とは|会の形式から服装などのマナーまで解説

2021年8月27日 葬儀後
偲ぶ会とは|会の形式から服装などのマナーまで解説

近年は故人の葬儀を小規模に執り行う家族葬が増えました。家族葬は費用面や遺族の精神面で多くのメリットがあるものの、参列者は基本的に近親者のみです。

葬儀は家族葬で行っても、本当は故人と親しかった友人・知人にも会葬してほしかったと考える人も多いのではないでしょうか。多くの人に故人の冥福を祈ってほしい場合には、偲ぶ会の開催を検討しましょう。

そこで当記事では、偲ぶ会とは何かから、偲ぶ会の代表的な2つの形式、偲ぶ会を主催する際の準備までを解説します。

1.偲ぶ会とは

偲ぶ会とは、葬儀を近親者だけで執り行った後日に、改めて故人とのお別れをする会のことです。偲ぶ会はセレモニーホールやホテルなどの施設に故人の友人・知人を招き、一緒に故人を偲ぶことができます。

偲ぶ会と似た集まりには「お別れ会」があり、両者はほとんど同じ意味です。ただし、お別れ会は葬儀後の四十九日までに開催することが多く、偲ぶ会は四十九日後以降も開催できるとする分け方もあります。

1-1.偲ぶ会を行うメリット

偲ぶ会を行うことには、主に2つのメリットがあります。

●故人とのお別れの場を用意できる

偲ぶ会を行うと、葬儀に参列できなかった故人の友人・知人に、故人とのお別れの場を用意できます。偲ぶ会は準備期間を十分に取りやすく、関係者が余裕を持って予定を組めることもメリットです。

●自由度が高く、故人の意向を尊重した形式で開催できる

偲ぶ会は宗教儀礼ではないため、葬儀のように厳格な内容にする必要はありません。偲ぶ会は自由度が高く、故人の意向を尊重した形式で開催できることがメリットです。故人の趣味をテーマにしたり、故人との思い出をスライドショーで流したりするといった企画も行えます。

1-2.偲ぶ会の流れ

偲ぶ会の流れは、一般的に下記の式次第で進行します。

(1) 入場
(2) 開会の辞
(3) 故人の紹介
(4) 黙祷
(5) 追悼の言葉
(6) 献杯・会食
(7) 閉式の辞
(8) 写真撮影
(9) お見送り

式次第の中で、友人・知人代表による弔辞と、主催者・遺族による挨拶を行うこともあります。

偲ぶ会は自由度が高く、故人の意向や遺族の思いによって内容や流れを自由に変えることが可能です。希望する企画や要望があれば、偲ぶ会のプランを決める際に葬儀社の担当者と相談してみましょう。

2.偲ぶ会の代表的な形式2つ

偲ぶ会の形式には、下記の2種類が存在します。

(1)セレモニー形式

セレモニー形式の偲ぶ会は、告別式に近い形で行う比較的フォーマルな会です。会場正面に祭壇と故人の遺影写真・生花を飾り、祭壇の前に参列者用の座席を並べます。

セレモニー形式は式次第をしっかりと組み立てて、司会進行に従って執り行うことが特徴です。偲ぶ会を厳かな雰囲気の中で行いたい場合は、セレモニー形式を選びましょう。

(2)会食パーティー形式

会食パーティー形式の偲ぶ会は、式次第の中に会食を組み込んだ比較的カジュアルな会です。会場正面には祭壇などが飾られているものの、テーブルと料理も用意して、参列者が会食を楽しめるようにしています。

会食パーティー形式では、参列者による献花や退出のタイミングは自由であることが特徴です。式次第の進行も和やかな雰囲気の中で行い、故人の遺族と知人・友人が互いに思い出を語り合う時間を取れます。

偲ぶ会には、セレモニー形式で故人とお別れをしたあとに会食を行う、ミックス形式も存在します。故人の偲ぶ会にはどのような集まりがよいかを考えて、適した形式を選びましょう。

3.偲ぶ会を主催する際の準備

偲ぶ会を主催したいと考えても、何から準備すればよいかが分からない人も多いでしょう。偲ぶ会の準備を行うためには、まずは偲ぶ会に必要な費用を把握して、会についての詳細を決めておくことが重要です。

ここでは、偲ぶ会を主催する際の準備を、大きく2つの段階に分けて解説します。

3-1.費用相場を把握する

偲ぶ会にかかる費用は、会場の規模と招待人数、企画・演出・食事スタイルなどによって変動します。偲ぶ会にかかる費用相場は、下記の通りです。

●偲ぶ会の費用相場

参列者の人数×10,000円~20,000円

ただし実際には、偲ぶ会は会費制で主催して、参列者に会費を支払ってもらう形が多い傾向にあります。会費制における参列者の会費相場は、下記の通りです。

●参列者の会費相場

1人あたり8,000円~15,000円

上記の金額は、偲ぶ会の費用相場における1人あたりの金額(10,000円~20,000円)と近くなっています。費用の大部分は会費によって賄うことが可能であり、主催者側の費用負担はそれほど大きくありません。

参列者に支払ってもらう会費は、葬儀における香典の代わりと言えます。会費制で主催した偲ぶ会では香典を受け取らず、案内状にも香典は不要であることを明記しましょう。

3-2.会の名称・日程・会場を決める

偲ぶ会を主催する際は、会の名称・日程・会場も決めておきましょう。それぞれを決めるポイントを解説します。

●会の名称

偲ぶ会の名称は自由に付けることができます。単に「偲ぶ会」や「お別れの会」「送る会」がよく使われる名称です。故人の名前を冠して「○○○○を偲ぶ会」と名付けることもあります。

●日程

偲ぶ会の開催日や時期には、明確な決まりがありません。一般的には葬儀後2週間から四十九日までに開催します。一周忌や三回忌など、節目となる年忌法要のタイミングで開催することもあります。

●会場

使用する会場は、偲ぶ会の形式に合わせて選びます。セレモニー形式は斎場(セレモニーホール)を、会食パーティー形式ではホテルやレストランを開催場所とすることがほとんどです。

4.偲ぶ会のマナー

偲ぶ会に参列者として招待されると、服装は喪服を着用すべきか、香典は包むべきかで悩む人も少なくありません。偲ぶ会は葬儀ほどに格式ばった集まりではないものの、最低限のマナーは守ることが大切です。

最後に、偲ぶ会に参列する際に注意したい2つのマナーについて解説します。

4-1.服装のマナー

偲ぶ会で参列者が着用する服装は、案内状に記載されている内容に従いましょう。「平服でお越しください」と記載されている場合は、一般的に男性は黒を基調としたスーツ、女性はスーツ・ワンピース・アンサンブルを着用します。

案内状に服装の記載がない場合は、偲ぶ会の日程を確認しましょう。偲ぶ会を葬儀や四十九日法要と同日に開催するか、別の日に開催するかによって、着用すべき服装を判断できます。

●葬儀や四十九日法要と同日に開催する場合

葬儀・四十九日法要では遺族側が喪服を着用します。同日に偲ぶ会を開催する場合は、参列者も喪服を着用することがマナーです。

●葬儀や四十九日法要とは別の日に開催する場合

葬儀や四十九日法要とは別の日に開催する場合は、参列者の服装は平服でよいとされています。会場がホテルやレストランである場合は、別室で婚礼中のケースもあるため、一目で喪服と分かる服装は控えましょう。

4-2.香典のマナー

偲ぶ会で香典を用意するかどうかは、案内状の記載を確認して決めましょう。会費制や香典辞退についての記載がある偲ぶ会では、参列者が香典を用意する必要はありません。

案内状に会費制や香典辞退の記載がない場合は、香典の用意をしてください。水引が白黒の結び切りになっている香典袋に香典を包み、表書きに「御香典」や「お花料」と書くことが香典のマナーです。

偲ぶ会で香典に包む金額の相場は、葬儀の場合と同様に10,000円~20,000円とされています。偲ぶ会の式次第に会食が含まれている場合は、飲食代10,000円を加えた20,000円~30,000円が香典の相場です。

また、案内状に会費制と記載されている場合は、名前・住所を書いた白無地の封筒に会費を入れます。封筒に入れた会費は、基本的に会場の受付で渡してください。

まとめ

偲ぶ会は葬儀とは別の機会に行う、故人とのお別れをする会のことです。偲ぶ会は式次第の自由度が高く、葬儀に参列できなかった人に、故人とのお別れの場を用意することもできます。

偲ぶ会を主催する際は、まずセレモニー形式か、会食パーティー形式にするかを決めましょう。偲ぶ会の形式によって、開催にかかる費用や日程・会場などの準備は異なります。

偲ぶ会は、参列者側が注意したいマナーもいくつかあります。主催者側が服装・香典の詳細情報を案内状に記載することで、参列者がマナーで困ることはありません。

葬儀に参列できなかった人を含めて、多くの人に故人の冥福を祈ってもらう機会を設けたい場合は、偲ぶ会の開催を検討しましょう。