喪中はがきはいつ出す?書き方・範囲からよくある質問まで
身内の人に不幸があった場合は、喪中期間の祝い事を控えることがマナーです。「喪中はがきの送付」も喪中におけるマナーの一つであり、喪中はがきを出すことで、親しい知人・友人に対して喪中の旨を伝えられます。
喪中はがきを初めて出す場合、送付者の範囲・いつまでに出せばよいか、文面はどうすればいいか、などを悩む人も多いのではないでしょうか。今回は喪中はがきを出す範囲・時期から、書き方のポイントと文例、喪中はがきを出す場合の注意点やよくある質問までを解説します。
1.喪中はがきとは?
喪中はがきとは、喪中期間中に送る「新年の挨拶は控える旨」を伝えるはがきのことです。正式には「年賀欠礼状」と呼ばれ、一般的に喪に服していることを喪中と表現するため「喪中はがき」と呼ばれています。
喪中はがきを出す意味は、新年の挨拶が行えずに礼を欠いてしまうお詫びを、先方へあらかじめ伝えることです。喪中はがきを出すことにより、喪中に年賀状を送らなくても不義理とはなりません。
1-1.喪中はがきを出す範囲
喪中はがきを出す範囲を、親族・親族以外の2パターンに分けて解説します。
●親族に出す範囲
一般的に、故人から見て二親等以内の近親者は喪中となります。そのため、互いに喪中である親族の場合には、喪中はがきを省略することが多い傾向です。
故人から見て三親等以下の親族に対しては、喪中はがきを出しましょう。
●親族以外に出す相手の範囲
親族以外の相手に喪中はがきを出す場合は、年賀状や年始挨拶をやり取りする付き合いの相手が出す範囲となります。友人・知人はもちろん、会社の同僚や上司など仕事関係者と年賀状をやり取りしている場合も、忘れずに喪中はがきを出しましょう。
また葬儀に参列した人に対しても、喪中はがきを出すことがマナーです。
基本的に、喪中はがきを送って失礼にあたることは少ないため、迷った相手には送ることがおすすめです。
1-2.喪中はがきを出す時期
喪中はがきを出す時期は、11月中旬から下旬、遅くとも12月上旬までに出しましょう。喪中はがきは新年の挨拶を控えるお詫びを伝える内容であるため、年内に先方へ届けば問題ありません。
ただし、あまりに早すぎる時期に喪中はがきを出すことは避けましょう。9月や10月に喪中はがきが届いても、年賀状を準備する時期には忘れられてしまう恐れがあります。
新年の挨拶を控えるお詫びを伝えるためには、年賀状準備よりもやや早い時期に出すことが適切です。
2.喪中はがきの書き方・ポイント
喪中はがきの基本的な書き方は難しくはなく、以下に示す(1)~(5)の内容を押さえて書くことが大切です。
- (1)年賀欠礼の挨拶文
「喪中につき新年の挨拶をご遠慮申し上げます」などの定型文を記載します。以降に続く文よりも目立つように、文字サイズを大きくしましょう。 - (2)主文
故人の名前・続柄・亡くなった月日・年齢を記載します。亡くなったことの表現は、「永眠」「他界」が適切です。 - (3)末文
受取人に対する感謝の言葉と、新年に向けた挨拶を記載します。 - (4)差し出した年月
喪中はがきを差し出した年月を記載します。書いてから投函するまで日が空くこともあるため、日付は省いても問題ありません。 - (5)差出人の住所・氏名
差出人の住所・氏名を記載します。
喪中はがきを書く際は、儀礼的な書状(招待状・挨拶状など)と同等の形式にすることが大切です。以下のポイントを押さえて書きましょう。
- 句読点は使用しない
- 行頭1字下げを行わない
句読点を使わずに文章を区切る場合は、改行や空白を使用します。
また、近況報告などのお知らせを載せたい場合は、喪中はがきとは別のはがきを作成しましょう。年賀欠礼に関する内容以外は書かないことが、喪中はがきのマナーです。
2-1.喪中はがきの文例
喪中はがきの文例として、表現・内容が異なる2つのパターンを紹介します。
喪中につき年末年始のご挨拶を失礼させていただきます
九月十二日 父○○○○が六十七歳にて永眠いたしました
本年中に賜りましたご芳情を厚くお礼申し上げますとともに
明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます
令和三年十一月
東京都○○区○○町○○
○○○○(差出人氏名)
喪中のため新年のご挨拶をご遠慮申し上げます
祖母○○○○が去る五月二十七日に八十八歳で他界いたしました
新年のご挨拶を申し上げるべきところではございますが
喪中につきご遠慮させていただきます
寒さ厳しき折ご自愛の程お祈り申し上げます
令和三年十二月
東京都○○区○○町○○
○○○○(差出人氏名)
これまで喪中はがきを受け取ったことがある人は、その喪中はがきの文面を参考にしてもよいでしょう。
3.喪中はがきを出す場合の注意点
喪中はがきを出す場合の注意点を、項目別に4つ紹介します。
●使用するはがき、切手
喪中はがきは、切手を貼らずに投函できる郵便はがきと、切手を貼って投函する私製はがきのどちらを使用しても問題ありません。郵便はがきを使用する場合は、切手部分の印刷に胡蝶蘭柄がデザインされているタイプを選ぶことが一般的です。
一方、私製はがきを使用する場合は、弔事用の普通切手を使用しましょう。弔事用の普通切手は郵便局で販売されています。
●フォント
喪中はがきのフォントは、行書体や明朝体が一般的に使用されています。シンプルなゴシック体も失礼にはなりません。丸ゴシックやポップ体などの特殊なフォントは使用を控えましょう。
●文字の色
不祝儀(葬式)では、文字の色を薄墨にすることが一般的です。しかし、喪中はがきを出す場合は葬儀から日数が経過していることが多いため、黒を選択しても問題ありません。葬儀から喪中はがきを出すまでの日数が短いなど、不安な場合には薄墨を選択してもよいでしょう。
ただし、郵便局で読み間違えが起こらないように、宛名や宛先の住所は黒で書くことがおすすめです。
●絵柄
喪中はがきの絵柄について細かいルールはないものの、バラやひまわりといった明るいイメージがある花の絵柄は、喪中の挨拶にふさわしくありません。
喪中はがきの絵柄で迷った時は、蓮花の絵柄を選びましょう。蓮花は仏教における極楽浄土を示すため、喪中はがきに適した絵柄です。
基本的に、マナーを守りミスなく送付したい場合は、郵便はがきを購入し、文章を簡単に修正できるパソコンでの作成をおすすめします。
4.喪中はがきに関するよくある質問(Q&A)
喪中はがきに関する基本的な書き方やポイント、注意点を見てきました。しかし、「年末に不幸があった場合の対応方法」や「喪中はがきと年賀状が入れ違いになったらどうしよう」などと、悩む人もいるでしょう。最後に、喪中はがきに関するよくある質問と答えをQ&A形式で紹介します。
4-1.年末に不幸があった場合は何を送ればいい?
年末に不幸があった場合は、忌中と新年の松の内(1月7日)が明けてから、立春前日(2月3日)までの期間に寒中見舞いを送りましょう。急いで喪中はがきを作成したり、喪中はがきが間に合わない代わりに年賀状を出したりする必要はありません。
寒中見舞いは年賀状を出しそびれた場合に送ることが多いものの、喪中における新年の挨拶代わりとしても使えます。寒中見舞いの文面には「喪中のため新年の挨拶を差し控えており失礼いたしました」のように、喪中であったこと・年賀状を送らなかったお詫びを添えましょう。
4-2.喪中はがきをもらった相手に年賀状を出してもいい?
喪中はがきをもらった相手に年賀状を出すことは控えてください。喪中はがきを出した側は身内の不幸により喪に服しているため、新年を祝う年賀状を出すことはマナー違反です。
喪中はがきをもらった相手には、新年の松の内(1月7日)以降に寒中見舞いを出します。寒中見舞いの文面では、喪中はがきをいただいたお礼と故人へのお悔やみ、遺族への気遣いを述べてください。
年賀状の投函後に喪中はがきをもらった場合は、すぐにお詫びの連絡を行うことが適切な対処法です。電話などでお詫びをして、年が明けたあとに改めて寒中見舞いでお悔やみを伝えましょう。
4-3.喪中なのに年賀状が届いた場合に返事は必要?
喪中なのに年賀状が届いた場合も、返事は出すことがマナーです。喪中に受け取った年賀状の返事としては、新年の松の内(1月7日)以降に出す寒中見舞いが適しています。
喪中に年賀状が届いた場合、年賀状の差出人は喪中はがきを出していない相手であることがほとんどです。そのため寒中見舞いの文面には、喪中であることと、年賀状を送らなかったお詫びを含めましょう。
まとめ
喪中はがきは、喪中の際に年賀状に代わって出すはがきです。普段から年賀状のやり取りがある相手に向けて、年内に届くよう11月中旬~12月上旬に出しましょう。
喪中はがきの書き方は、冒頭に年賀欠礼の文を置き、主文・末文と続けて、末尾は差し出した年月と差出人の住所・氏名で結びます。句読点や行頭1字下げは使わないといったポイントがあるため、作成する時は紹介した文例を参考にしてください。
喪中はがきを出す場合は、使用するはがき・切手や文字のフォント・色にも注意点があります。喪中はがきは「年賀状を出せないお詫びのはがき」であることを踏まえ、マナーに沿って出せるようにしましょう。