【弔電の書き方】弔電のマナーや送り方・故人別の文例も紹介
弔電(お悔やみ電報)とは、通夜や告別式、葬儀に参加できない状況で、弔意を伝えるための電報です。たとえば弔電は、「通夜の会場が遠方で、直接足を運ぶことは難しい」「家族葬の連絡を受けたが、お悔やみの気持ちを伝えたい」などの状況で利用されます。
当記事では、弔電の基本マナーを知りたい人に向けて、送るタイミングや書き方を解説します。弔電を送らなくてはならない場面に直面しても慌てることなく、故人や遺族に失礼のない対応を取るための事前知識として、ぜひ参考にしてください。
1.【事前知識】弔電に関するマナー
弔電は、故人に対するお別れの気持ち・遺族をいたわる感情をメッセージとして伝えるために利用するツールです。気持ち・感情を伝えるためのツールとはいえ、送るタイミングや送り先、宛名や敬称の使い方を誤ることはマナー違反にあたるため、注意しましょう。
以下では、弔電に関するマナーとして最低限押さえておきたい内容を解説します。
〇弔電を送るタイミングと送り先
弔電は、通夜や告別式、葬儀開始時刻に間に合うように送ります。通夜や告別式、葬儀が終わった後に弔電が届くことはマナー違反にあたるため、早めに準備してください。
弔電の送り先は、通夜や告別式、葬儀会場です。通夜や告別式、葬儀は斎場で執り行う形式・寺院や自宅で執り行う形式の両方があるため、事前に確認してください。
〇弔電を送るときの宛名
弔電の受取人の名前は、喪主名(フルネーム)を使うことが通常です。他の遺族宛ての弔電であっても表向きは、喪主宛てに送ってください。喪主名が分からない場合は、「(故人の名前)様 ご遺族様」「(故人の名前)様 遺族ご一同様」などと書きます。
なお、社葬の場合の宛名は例外です。社葬の弔電は、会社や葬儀委員長宛に送るケースもあります。
〇弔電における敬称の使い方
弔電では、喪主から見た故人の関係に合う「敬称」を使用します。弔電で使用される敬称の具体例は、下記のとおりです。
●弔電で使用される敬称
実父:ご尊父(そんぷ)様、お父様、ご岳父(がくふ)様
実母:ご母堂(ぼどう)様、お母様、ご岳母(がくぼ)様
祖父:ご祖父様
祖母:ご祖母様
夫:ご主人様、ご夫君(ふくん)様
妻:ご令室(れいしつ)様、ご令閨(れいけい)様
娘:ご令嬢(れいじょう)様
息子:ご令息(れいそく)様
通夜や告別式の会場・喪主の名前は、訃報とともに伝えられることが一般的です。通夜や告別式の会場を喪主に電話し、直接確認する方法も失礼にはあたりません。
2.弔電の送り方|電話またはインターネット
弔電は、電話もしくはインターネットで、電報を扱う通信会社へ依頼します。電話による申し込みは受付可能時間帯が制限される可能性が高く、タイミングによってはつながらないこともあります。
いずれの方法で申し込む場合も、以下の内容をメモしておくと手続きがスムーズです。
- 台紙(電報台紙)の種類
- 弔電の本文
- 差出人、宛先の情報(斎場や自宅の住所と電話番号など)
弔電の料金は、選択する台紙の種類や文字数、オプション追加の有無などに応じて変化します。大まかな目安としては、1通あたり1,000円から3,000円前後が相場です。
台紙には、花や線香付きのもの・菊の花のデザインが刺繍されたものなど、さまざまな種類があります。個人的に送る場合は香典として渡す金額に合わせ、台紙の種類を決めましょう。
3.【ケース別】弔電の書き方
弔電の書き方は、差出人と故人との関係性で変化します。たとえば、親しい友人の訃報を受けたときの弔電、職場の上司の訃報を受けたときの弔電では、異なる書き方を行うことが自然です。
では、故人との関係性がどのような場合に、どのような内容の弔電を送ればよいでしょうか。以下では、故人との関係性別・弔電の書き方や文例を紹介します。
3-1.一般的な文例で送りたい場合
まず、故人との関係性を問わず、さまざまなシーンで活用できる文例を紹介します。
◎文例1
突然の訃報に接し、心からお悔やみ申し上げます。
◎文例2
(敬称)様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、ご冥福をお祈りいたします。
なお、上記は、仏教の人に送る場合を想定した文例です。キリスト教など他の宗教の人へ送る弔電では使用できないケースもあるため、注意しましょう。
一般的な文例で送りたい場合は通信会社ごとに用意された例文集から、希望のものを選ぶことも一案です。電話で弔電を申し込む場合はオペレーターに相談し、本文を決めることもできます。
3-2.先方の父親・母親が故人の場合
父親・母親を失った人への弔電には、遺族に対する労いや励ましの言葉を盛り込みます。
◎文例
突然の訃報に接し、惜別の念でいっぱいです。優しく家族思いのご母堂様であっただけにさぞお力落としのことと存じますが、どうかお気持ちを強く持たれますよう、心よりお祈り申し上げます。
「幼なじみの父親・母親の訃報を受けた」などの状況では、故人との想い出や感慨深いエピソード、お礼の言葉を盛り込むことも一案です。ただし、故人のプライベートに関わる内容は、控えることをおすすめします。
3-3.先方の夫・妻が故人の場合
夫や妻を失った人は、心をひどく痛めます。心の痛みや悲しみに寄り添い、遺族に対する配慮を盛り込んだ内容で弔電を送りましょう。
◎文例
ご主人様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。奥様のご心痛はいかばかりかとお慰めする言葉もございません。今はただ安らかな旅立ちでありますよう、心からお祈りいたします。
なお、弔電やお悔やみの手紙の中に繰り返し悲しみを強調する表現を盛り込むことは、好ましくないともいわれます。「悲しい」「心が傷む」などの表現は、適度な量に留めることがおすすめです。
3-4.先方の兄弟・姉妹が故人の場合
兄弟・姉妹を失った人に送る弔電には、故人に対する感謝の気持ち、遺族に対する気遣いの言葉などを盛り込みます。
◎文例
ご令妹様の訃報に際し、哀悼の意を示します。ご生前は家族ぐるみでお付き合いいただきました。在りし日のお姿を偲び、安らかな旅立ちを心からお祈りいたします。
家族ぐるみの付き合いをしてきた場合は、その事実に対する感謝の気持ちや印象深いエピソードを含めることも一案です。ただし、長過ぎる弔電は通夜や告別式で読み上げる際に、迷惑をかけてしまうリスクもあります。弔電は故人の家族に対して送るものであることを忘れずに、心から伝えたい内容を簡潔にまとめてください。
3-5.先方の子どもが故人の場合
子どもを失った人は、とりわけ深い悲しみに包まれます。そのため、相手の悲しみに対して共感を示し、気遣う内容にまとめることがおすすめです。
◎文例
ご令嬢様のご急逝の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。ご両親様の悲しみを思うとお慰めする言葉もございません。さぞお力落としのことと存じますが、体調を崩されませんようにご自愛ください。
先方の子どもが故人の場合に限ったことではないものの、「四」「死亡」「苦しむ」など不幸を連想させる言葉(忌み言葉)の使用は避けてください。「重ね重ね」「たびたび」など同じ単語を2回繰り返す言葉(重ね言葉)の使用も、弔電のマナー違反にあたります。
3-6.社長・会長が故人の場合
社長・会長が故人の場合は、部署や会社単位で弔電を送るケースが多いため、簡潔な内容にまとめてください。
◎文例1
社長様のご功績をたたえ、心からご冥福をお祈りいたします。
◎文例2
会長様のご逝去の報に接し、ご遺族の皆様および社員ご一同様に、心からお悔やみ申し上げます。
弔電の内容には、社長・会長の功績をたたえる気持ち・受けた恩に対する感謝の言葉などを含めましょう。取引先の社長・会長が故人の場合は、相手の会社の社員に対する労いの言葉を添えることも一案です。
まとめ
今回は、弔電を送るタイミングや台紙の選び方、故人との関係性別の書き方と文例を紹介しました。訃報は突然訪れることも多いからこそ基本マナーをあらかじめ把握し、いざその場面に直面しても落ち着いて対処できるよう、備えておくと安心です。
不幸ごとの不義理によって遺族との関係性がこじれてしまう状況は、故人の本意といえません。当記事の内容を参考に弔電を送るタイミングや宛名、書き方などを今一度見直して、いざという場面に備えましょう。